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第10章:商人間の留置権と民法上の留置権

1(商人間の留置権と民法上の留置権との特質上の差異)
 商人間の留置権と民法上の留置権との間には、その意義、性質、効力、消滅などにつき
基本的な差異は存在しない。
しかし、その成立要件については商法が民法上の留置権のそれを緩和・変更する。
そこに重大な差異が見られる。すなわち、民法上の留置権が被担保債権と目的物との間の
個別的牽連性を必要とする(民295条1項)のに対し、商人間の留置権は
債権一般と債務者所有の物一般との間に、一般的牽連性があれば足りるとする。(商521条)。
これは、前者の目的が非商人間の、あるいは商人と非商人との個別的な信用取引の
安全(公平)の維持・確保にあるのに対し、
後者の目的は、被担保債権と目的物との個別的牽連性という要件をはずし、
広く商人間の継続的信用取引の枠の拡大とその安全(公平)の維持確保、
併せて債務者の所有物に担保権を個別的に設定することに伴う煩雑さと
不便さの除去という差異に起因する。以下、具体的に検討する。

2(商人間の留置権と民法上の留置権との成立要件上の差異)
(1) まず被担保債権に関し、商人間の留置権が成立するためには、
①当事者双方が商人であること、②双方的商行為によって生じたこと、
③弁済期が到来していること、が必要とされる。このうち②をより具体的にいうと、
被担保債権の発生と目的物の占有取得が双方的商行為によって生じたという
一般的関係があればあれば足りるということであり、前述したようにこれが被担保債権と
目的物との個別的牽連性を必要とする民法上の留置権と異なるところである。
したがって、商人間の留置権においては、第三者から譲り受けた債権をもって
留置権を行使することは許されないことになり、
この範囲で留置権の成立が制限されることになる。
ただ、相続・合併のように法律関係を包括的に継承した場合には、その債権につき
留置権を行使すると解される。継承人は被継承人と同一の法的地位に立つからである。
また、無記名証券や指図証券についても同様に解される。流通証券たる性質上、
債務者は誰であれ、証券所持人に対して債務を直接負担するとの意思が
認められるからである。

(2) つぎに目的物に関し商人間の留置権が成立するためには、
①債務者所有の物または有価証券であること、②債務者との間の商行為を原因として
債権者が占有するに至ったものであること、が必要である。このうち①に関連して、
民法上の留置権では「他人の物の占有者が」となっている(民295条)ところから、
他の所有者が債務者であろうと第三者であろうと差し支えはないが、
商法は明文で債務者所有の物とする。
しかし、これでは窮屈すぎるし、民法よりも厳格に解すべき積極的理由もない。
したがって、占有取得同時に債務者の所有に属しているならば、
第三者に譲渡しても留置権は成立しうるし、また、契約解除により、
売主に復帰した目的物に対する買主の留置権も成立しうると解すべきである。

(3) 以上の要件が備わったときは、債権者は目的物に留置権を行使しうる。
しかし、商法は債権者が留置権による保護を受ける意思のないときには、
特約により本条の適用を排除しうるとする。(商521条但書)
民法にはこのような規定は存しないため、これが1つの差異と言いうるが、
しかし、留置権は債権者の利益保護の制度であるところから、民法上の留置権においても
認められており、商法の規定は単なる注意規定といえる。

3 商人間の留置権の効力については、商法に規定がないので、
民法の一般原則(民295条)による。しかし、債務者が破産したときは、
商事留置権者は破産財団に対し特別先取特権とされて優先弁済を受け(破産法93条)、
また、会社更生手続において、更生担保権として特別の扱いを受ける(会社更生法123条)。
これらの点が民法上の留置権とは異なる。
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